ドキュメント映画『原発の町を追われて』の製作監督の堀切さとみさんをお招きして、2月23日(日)大久保東公民館で講演会を行いました。
昨年10月にも福島をテーマに学習会を催しましたが、オリンピック聖火リレー出発式典(3月26日)が迫る福島の様子を「福島の現状を語るU」と題して語っていただきました。
お話の主な内容は、次の通りです。
●福島の現状
7千人の町民が全員避難した双葉町の97%が帰還困難区域となっています。
その一部が3月に避難解除される予定です。これに伴い、常磐線の不通区間(富岡〜浪江間)を開通させます。
双葉町・大熊町が同意して、除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を保管する中間貯蔵施設が作られ、昨年から運用が始められています。
焼却施設でフレコンバックの中の木などを燃やし、減容化施設で処理された灰を貯蔵する廃棄物貯蔵施設・土壌貯蔵施設も建ち、
木や石を取り除いた土のうちきれいな土(放射線量は測っていない)は、公共工事に使われる予定といいます。
聖火リレーコースになっている双葉駅では、駅舎が新設され、役場も作られました。
しかし、町長さえ「役人を常駐させるわけにはいかないナァ」と言う線量の高さですが、2年後には双葉駅周辺に居住地ができる予定だそうです。
双葉を離れて農業をやっている人が、「双葉で田をやるなら自分がやりたい。
でも若い人は継がないので、お金を使ってやっても仕方がない」と、言っているそうです。
一方で、双葉町の農業再生は先端技術でと、仙台に本社を持つ『舞台ファ―ム』と農業再生に関する協定を町は結びました。
舞台ファ―ムは、これまで小高区と浪江町の農業者の支援事業として、パックご飯を生産するアイリスオーヤマグループへ販路をつないでいるとのこと。
しかし、調べてみるとアイリスオーヤマのパックご飯に、福島産の表示はありませんでした。
●避難者の現状
堀切さんは、『原発の町を追われて』を1部から3部まで作成していますが、
3部では避難所から働きに出ても職場でイジメにあってすぐに辞めてしまうという状況をレポートしています。
職場だけでなく学校でも同様です。
●原発の現状
原発事故では、広島の原爆の168倍もの放射性セシウムが出ました。
原発炉心の状況はまだわかっていません。炉心調査のために投入されたロボットは全て生還できていないのが、現実です。
このような中で、予定通り3月4日に、双葉町の一部で避難解除がされました。放射線量が比較的高い帰還困難区域としても初めての解除です。
解除されたのは双葉駅周辺と駅に行く道路など、街の面積の4%に当たる避難指示解除準備区域です。
これは、産業団地への企業誘致や住宅整備を進めるための「先行解除」で、居住は想定していないとのことです。
5日には大熊町、10日には富岡町のそれぞれ駅周辺が解除になり、14日に常磐線は全線再開する運びとなりました。
これは、もちろん聖火を通して、復興オリンピックを演出するためです。
線路の敷地と駅を利用するための道路だけ除染して指定解除されたので、運転手の方々が放射線の影響を懸念しています。
駅の周りは除染されていますが、線路以外の大部分は帰還困難区域です。
実際に、線路沿いの空間線量を計測したところ、毎時2.6〜4.4マイクロシーベルトで、除染の長期目標の0.23マイクロシーベルトを大きく上回りました。
ここを運転手と車掌は1日に2往復するそうです。「仮にトラブルがあって列車が止まってしまったらどうするのか?」。会社側からは、対策は示されていないといいます。
復興五輪を演出するために無理を強いていることは明らかです。
オリンピックはコロナの影響で延期になりましたが、その際、安倍首相は、人類がコロナに打ち勝ったことを示すオリンピックにすると発言。
すでに復興五輪のスローガンが消えてしまいました。

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